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今回紹介する1冊はこちら↓↓↓
『馬はなぜ走るのか やさしいサラブレッド学』
【著 者】・・・辻谷秋人
【発行日】・・・2016年9月10日
【頁 数】・・・213ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- 馬はレースで走ることをどう思っているのか?という疑問をお持ちの方
- サラブレッド、ひいては「馬」という動物が好きな方
- 馬という動物の生態や身体について知りたい方
- 馬や競馬についての知識を増やしたい方
本書にはギャンブル攻略に直接役立つ内容は一切書かれておりませんのでご注意ください!
著者はどんな人?
1961年、群馬県草津町生まれ。
コンピュータ系出版社を経て、㈱中央競馬ピーアール・センターに入社。月刊誌『優駿』の編集に携わる。
その後、フリーとなり、競馬雑誌をはじめ、スポーツ、コンピュータ、ビジネスなどの分野で活動。
書評にあたって
本というのは、著者からしたらいわば虎の巻。
核心に触れることを易々と引用してはいけないと僕は考えます。
このブログを読んでいただいているあなたに概要や見どころを紹介し、「本を買って詳しく読みたい!」と思ってもらえるような記事作りを目指しています。
本書の特徴
本書のことが少しでも気になっているあなたは、「ギャンブル」だけではない競馬の魅力を知ろうとしているはずです。
本書を読めばその魅力をより深く知ることができますので、オススメする一冊です!
競馬を見る目が大きく変わる一冊
本書は、「馬に対して人間にとって都合の良い解釈をせずに、馬本来の性質や本能に基づいた解釈をしよう」という本です。
「人間の都合」や「馬の性質」とは?
それらが解説されています。
本書の特徴は本の帯にも端的に書かれています↓
”科学的”といっても、難しい専門用語が飛び交うわけではありません。著者が噛み砕き、分かり易くまとめてくれています。
※著者は元JRA競走馬総合研究所研究者の楠瀬良氏に協力を依頼されていますので、根拠・裏付けのある内容となっております。
上記の紹介で分かる通り、本書は競馬に関する本ですが「ギャンブルの攻略本」ではありません。
「馬」という生き物にスポットを当てた内容
では本書には何が書かれているのか?
本書に書かれている主な内容は以下。
・馬の身体の作りや走法
・人間が創り出したサラブレッドという品種の存在
・太古から続く人間との共存の歴史
このように、「馬という生き物」にスポットを当てた内容となっております。
僕たち競馬ファンの誤解
「馬」という生き物を知れば知るほど、僕たち競馬ファンが誤解していることがいかに多いかを知らしめてくれます。
例えば、以下のような誤解。
・馬は走るのが好き
・レース中、抜かせまいと隣の馬を威嚇したり噛みついたりする
馬の本能や生態を鑑みればみるほど、これらは「人間の都合の良い解釈」であることが分かると書かれています。
その理由は本書に詳しく書かれており、「確かに、なるほどなぁ」と腑に落ちるものばかりでした。
全力疾走したら「疲れる」
以下の引用は本書の基礎となる考え方。
本書は、馬は競馬のように全力で走ることが好きではない、という考えをベースにしている。
全力疾走したら「疲れる」ので馬だって好ましく思っていないのは想像できますよね。
でも、放牧地で仲間と駆け回っている姿や、競馬場で放馬してのびのびとコースを一周する姿を見ると、「馬は走ることが好きなんだなぁ」と感じます。
「自由に楽しく走ること」と「人間の指示で全速力で走る」ことは全く別物なのは当然です。
本書のベースとなるこの考えは、著者を含め僕たち競馬ファンには耳が痛い話です。
だって、好きでもない全力疾走を人間が馬にさせているわけですから。
それでは、馬はなぜ人間に従うのか?
馬はなぜ走るのか?
本書を読んだ僕あまざけの所感は次の項目で。↓↓
読了後:あまざけの考え
馬と人が共存していくための手段のひとつとして競馬がある
人間は「生きるために」仕事をしてお金を稼ぎますよね。その中には辛く苦しい場面も多くあります。
馬も人と同じで、生きるためには食べ物や安全を確保しなければなりません。
馬にとって、「生きるための手段」のひとつとして競馬があるのかなと。
人間と馬の共存の歴史はおよそ5000年。馬と人間は切っても切れない関係です。
現代でも馬の仕事は競馬以外にもたくさんあります。
人や荷物を乗せて運んだり、乗馬としてスポーツに参加したり、ホースセラピーとして人間を癒したり。
人間が生活するにあたって、馬はとても重要なパートナーです。
文明が発達した現代では、人間は馬がいなくても生活することができます。
ですが、馬は人間がいないと種の存続が危ぶまれるのではないでしょうか?
劣悪な居住環境や暴力、虐待などはもってのほかですが、馬と人が共存していくための手段のひとつとして競馬がある、と考えるとしっくりきます。
サラブレッドが生まれてくる意味とか競馬の存続とかといった大層な問題ではなく、もっと単純な話として、サラブレッドは不幸なのだろうか。
彼らは人間から走ることを求められている。ここでまた大げさな言い方をするなら、存在を求められているわけだ。そして、彼らには走る場所があって、彼らが走ると喜ぶ人がいる。
それは悪いことではないし、むしろ幸せなことと言ってもいいのではないかと思うのだ。
著者がこのように考えているように、馬と人間がwin-winの関係となって生きていければ、それは一番いいことなのではないでしょうか。
もしかしたら、この僕の考えも「人間の都合の良い解釈」なのかもしれません。
こればっかりは馬に直接教えてもらわないと分かりませんが、こう考えることは悪いことではないでしょう。
僕が本書の中であなたに勧める文章
以下は、本書の「おわりに」で書かれているものです。
私たちは、サラブレッドを無理やり走らせているのではないかという自責の気持ちを、どこかに、しかし確実に持っています。
競馬が文化であったりロマンであったりするのはその通りだと思うが、私たちの目の前で死んでいく馬もいる。
競馬はサラブレッドの命のやり取りであるのも確かなのだ。サラブレッドが命のやり取りをしているのであれば、せめて少しでも、彼らの本当の姿を知っておきたいと、私は思っている。
この部分が、僕が本書の中であなたに強く勧める文章です。
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
- ギャンブルではなく、「馬という生き物」にスポットを当てた内容
- 僕たち競馬ファンの誤解
- 馬と人が共存していくための手段のひとつ
関連書籍
関連書籍の紹介記事もあるので、ぜひご覧ください!
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