今回紹介する1冊はこちら。
『世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術 1分で話せ』
【発行日】・・・2018年3月20日
【頁 数】・・・239ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- 説明することが苦手な方
- プレゼンをする機会が多い方
- 必要なことだけを簡潔に確実に伝える方法を知りたい方
著者はどんな人?
本書の著者は『伊藤羊一』さん。
現在は、
- ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長
- 株式会社ウェイウェイ代表取締役
- グロービス経営大学院客員教授として教壇に立つ
として活躍されています。
過去には、
- 東京大学経済学部卒
- グロービス・オリジナル・MBA・プログラム修了
- さまざまな企業にて、金融、事業再編支援、ロジスティクス再編や事業全般を統括、など。
- ソフトバンクアカデミア(孫正義氏の後継者を見出だし、育てる学校)に所属。孫正義氏へプレゼンし続け、国内CEOコースで年間1位の成績を修める。
さまざまな企業の現場やソフトバンクアカデミアで培ったプレゼン技術(人を動かす技術)を元に書かれたのが本書です。
あまざけの所感
本書は論理思考に関するビジネス本ですが、『プレゼン』を強く意識した内容です。
著者はソフトバンクの孫正義氏にプレゼンしたこともある方なので、プレゼンに関しては研ぎ澄まされていると感じました。
そして、「プレゼンで使えるスキルはさまざまな場面で使えますよー!」という紹介・解説も書かれた本となっています。
ゴールは「相手に動いてもらう」こと
「1分で話せ」というタイトル通り、自分の主張をスッキリ・カンタンにして相手に伝える技術が書かれた本です。
- 人は相手の話をほとんど聞いていない(覚えていない)ということを前提とする。
- 自分が望むゴールにいない相手に対して、変化を促し、動かしていく。
本書ではこの2点について重きを置いています。
私は「1分で語れ」と言いました。
これは、相手に対して説明し、動いてもらうには1分の内容で決まるという意味です。
著者がこのように考えている通り、「相手に理解してもらうだけではなく、相手に動いてもらうための説明をする」ためのノウハウが書かれています。
ロジカルシンキングに関する本には必ず掲載されている「ピラミッドストラクチャー」の説明など、基本的なことから実用的なことまで一通り書いてある本です。
プレゼンをする機会が多い人を主な対象として書かれている
本書が想定しているシーンや話し手の立ち位置としては、
- 社内で企画のプレゼンをするとき
- 部下が上司に向かって提案や意見を言うとき
という前提が多くなっています。
なので、「部下やチームメンバーなどに対しての発言の仕方」や「取引先などの社外に対して提案や商談をする」といった場合は自分なりに置き換えて考えなければなりません。
本書の軸としては技術的なことが書かれていますが、後半に入ると処世術や対人関係の心構えのような内容となっております。
サラリーマンには参考になる内容
ちなみに僕あまざけは、中小の某食品メーカーで働いており、関わる仕事の中にはインフォメーションテクノロジー全般の管理・運用に携わっています。
IT担当というと大層ですが、各部署のさまざまな仕事をデジタル化により効率を高める仕事です。
この仕事をしていると、
「非効率なのは分かっているけど、慣れているから変えないでほしい」
「パソコンに詳しくない人もいるんだぞ」
という声が必ずあがります。
明らかに作業効率が上がることを提案しても「変化に対応する努力を嫌がる」人はいるんですよね。
このような状況の場合、「相手に動いてもらうための説明」をしなければなりません。
本書には、その方法やヒントが書かれていました。
「こうやって内容をまとめればスッキリする」
「こうやって話を組み立てれば相手に理解してもらいやすい」
「この話し方なら相手に熱意が伝わり、動いてもらえる」
本書に書かれていることはすぐにでも実践でできることばかりですので、このような気付きや変化を感じ取りやすいはずです。
本の内容
内容を抜粋して紹介させていただきます!
みんな、人の話を聞いていない
- こちらがどれだけ詳しく説明しても、理解してくれない。
- あんなに熱心に伝えたのに、内容を覚えてくれていない。
あなたは、話し手として上記のような経験をしたことはありませんか?
本書には以下の記述があります。
まず、1つ気付いてほしいのは、そもそも「人は、相手の話の80%は聞いていない」ということです。
自分の話を聞いてほしいなら、まず「みんな人の話を聞いていない」ということからスタートしてほしいのです。
これについて主観で振り返ってみると、僕あまざけも「人の話を聞いていないな」と感じます。
思い返すと、僕は結構あります・・・。
動かしてなんぼ
なぜプレゼンをするのか。相手が自分が望むゴールにいないからです。
とにかくゴールに相手を動かしていく。これが求められているのです。
だから、「動かしてなんぼ」なのです。
頑張ってデータを集めて、分かりやすくスライドにまとめる。
そして、「よし、これで相手に理解してもらうことができる!」という自信があっても、「プレゼンの結果、相手に動いてもらわなければ意味がない」のですね。
情熱だけでは人は動きませんが、ロジックだけでも人は動きません。
結局、人は左脳で理解し、右脳で感じて、それでやっと動けるんです。そもそも、「理解してもらう」というゴールがおかしいのです。
伝える側が、聞き手に「理解したうえで、どうしてほしい」のか、君が動くのか私が動くのか、どうすればいいのか、ということを、必ず考えなくてはならないのです。
ピラミッドストラクチャは論理思考の基本
論理思考、人への伝え方などに関する本には必ず書かれている「ピラミッドストラクチャー」。
当然、本書でも解説されています。
その考え方をもとにプレゼンを組み立てても、内容が「スッキリ・カンタン」でないと聞いてもらえないと著者は言います。
私が思うに、「1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない」。逆に言えば、「どんな話でも『1分』で伝えることはできる」ということなのです。
特に忙しい上司や役員などは、「1分」のほうが聞いてくれる確率は高いでしょう。
サラリーマンには必読ですね!
短くすれば必ず伝わるというものではありません。大事なのは、このピラミッドを「ロジカル」に作る必要があるということです。
では、「ロジカル」というのはどういうことでしょうか。
ひとまず、「意味がつながっていればロジカル」なんです。もちろん、ほかの要素も色々あるでしょう。しかし、まず意味がつながっていればOK。賛成か反対はあるが、意味がつながっていたら、人は話を理解できる。
聞き手は「理由は3点あります」に驚くほど反応する
ピラミッドストラクチャーの通り話すと、相手も「聞こう」という態勢になります。
たとえば、講演なら「理由は3点あります」と指を3本出して伝えた瞬間、聞いている人たちは手元を動かし、ノートにメモを始めるのです。
これ、ぜひ皆さん、試してみてください。
驚くほど、聞き手は「3点あります」に反応します。
話し手は内容をロジカルに組み立てると必然的にこういった構成になるし、聞き手も要点が分かり理解しやすい。
簡単だけど確実な、良い方法ですね!
1分で話すために、事前・事後の準備には時間をかけるべき
孫正義氏へプレゼンする際は300回練習したという著者。
まぁこれはかなり尖ったエピソードだと思いますが、どんなプレゼンでも事前準備にはかなり時間を割くそうですし、それが当然だという考えです。
社内会議での説明などは、事前に根回しができたり、会議後にアフターフォローができる場合があります。相手を動かすためには、これらの前後のプロセスを機会ととらえてフル活用しましょう。
資料の作り込みや話し方の練習など「プレゼン本番」に対しての準備以外にも、上記のような「人を動かすためにできること」はとことんすべきだと書かれています。
「根回し」と聞いて、「自分はそういうことは嫌いだ、やらない」と感じる人もいるかもしれません。
事前に根回しをしている人を、「ずるをしている」と感じる方もいるでしょう。
しかし、「根回しやアフターフォローをすることはカッコ悪いことだ」と思っているのは本質から外れているのです。
余計なプライドで遠回りすることは避けましょう!
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
- 「理解」ではなく「相手に動いてもらう」ことをゴールとすべき
- 人は左脳で理解し、右脳で感じて、それでやっと動ける
- 自分の話を聞いてもらう為に、「みんな人の話を聞いていない」ということを前提とする
- 聞き手は「理由は3点あります」に驚くほど反応する
- 根回しやアフターフォローなど、できることはすべて活用する
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