今回紹介する1冊はこちら。
『馬場を極める』
【著 者】・・・亀谷敬正 馬場虎太郎
【発行日】・・・2022年10月24日
【頁 数】・・・269ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- 馬場分析を予想に取り入れたい方
- 馬場による有利不利を次回予想で活かしたい方
- 血統と馬場の関係を知りたい方
著者はどんな人?
亀谷敬正氏は競馬評論家、競馬ライター。
「血統ビーム」や「スマート出馬表」など競馬ツールで知られており、著者も多数出版。Youtube「亀谷競馬サロン」にて発信をされています。
馬場虎太郎氏はトラックバイアス分析のプロ。
膨大なデータと独自の判断基準で馬場状態を分析し、「トラックバイアスの有利不利」を馬券に活かす馬券師。
表紙の覆面レスラーが馬場氏です。
書評にあたって
本というのは、著者からしたらいわば虎の巻。
核心に触れることを易々と引用してはいけないと僕は考えます。
このブログを読んでいただいているあなたに概要や見どころを紹介し、「本を買って詳しく読みたい!」と思ってもらえるような記事作りを目指しています。
あまざけの所感
競馬場の馬場に関する基本情報はJRAのHPに記載されていますので、ご参考程度にどうぞ。
→馬場状態に関する基礎知識
それでは、本書の見どころや特徴を紹介していきます!
ふたりの著者の特長を掛け合わせた本
ブラッドバイアス(血統傾向)の亀谷氏、トラックバイアス(馬場傾向)の馬場氏。
血統と馬場状態は関わりが深く、予想には欠かせないファクターのひとつです。
以下は本書の前書きでの亀谷氏のことばの一節。
馬場さんのトラックバイアスの話と、ボクのブラッドバイアスの話。ふたつを一緒に読むことで、「こういう馬場だからこういう血統が走りやすいんだ」といった、点と点がつながるような発見があると思います。
そのあたりにも注目しつつ、本書を楽しみつくしてくだされば幸いです。
「トラックバイアス」の丁寧な説明あり
トラックバイアスを直訳すると、「馬場の偏り」。
馬場状態を初めて予想に取り入れる人にも分かり易いよう、基本の説明から始まります。
本書は対話形式で進められますのでカジュアルで読み易いのが特徴ですね。
JRAの競馬場はとても個性的で、例えば下記のような特徴があります。
- コースの内外の有利不利
- 先行、差しなどの脚質
- 瞬発力が活きるのかパワーが活きるのか
- 坂やコーナーの存在
- 風向き
同じ競馬場でも日時によってその特徴がガラッと変わることだってあります。
まさに「馬場は生き物」ですよね。
そんな特徴をトラックバイアスとして捉え、その解説が書かれているのが「馬場を極める」という本書です。
馬場発表を鵜呑みにしてはいけない
馬場虎太郎氏の馬場状態の判定はJRAのそれとは異なります。
独自の馬場コンディションの判断基準があり、それも紹介されています。
レース結果だけで判断せず、本質を見る
例えば、とあるレースで逃げ・先行脚質の馬が上位を独占したとしましょう。
レースの評価として「先行した馬が上位を占めたから前有利の馬場だな」と判断することができますよね。
では、上位を独占した馬の人気が1番~3番人気だったらどうでしょうか。
これでは、位置取りに関わらず「強い馬がただ実力通りに上位にきただけ」です。
(単勝人気は多くの人が導き出した予想が集められた集合知なので、馬の実力を測るには利用できます)
この場合ですと馬場の有利不利が結果に影響したとは考えにくいですよね。
本書はこのような間違った判断をしないような手法が書かれています。
コース別の特徴解説
みんな大好き、コース別解説。
競馬場別・距離別のトラックバイアス解説が約130ページを使って書かれています。
なんと本書の半分はこの項目です。
馬場コンディション別の平均タイムも書かれているので、自分でデータ集めをしなくても即使えるのがうれしいポイント。
あまざけの考え
こういうコース別の解説ってどの競馬本にも大抵書かれていますよね。
読者のニーズに応える形で掲載されているんでしょうね。編集者が「売れるからコース別解説はゼッタイに必要!」とでも念押ししているのでしょうか・・・。
「言わば図鑑のような項目は予想に即反映できる」のが良い点。即効性は大事。
ですが、「自分の頭で何も考えなくなる」というのは悪いポイントだと考えています。
僕あまざけは、競馬の最大の魅力は「多様性」だと考えています。
馬の個性、競馬場の個性、天候などの不確定要素、数多ある予想ファクター、人と馬のドラマ。
正解は無く、自分の性格や考え方に合わせた予想や楽しみ方が出来るのはとても魅力的。
(あくまでもギャンブルですし、資金を回収できなければ意味無いので結局は「勝てば官軍」ですが・・・。)
なので、僕あまざけ個人としては「これさえあれば勝てる!と謳った本」よりも「考え方を伝える本」の方が好きだったりします。
いうなれば「競馬の啓発本」ですね。
本書だと、前半の「著者ふたりの考え方」が書かれた部分がとても勉強になりました。
さまざまな競馬本から先人たちの考え方を取り入れ、自分なりに混ぜ合わせ、そこから自分なりの手法で予想をしていくのが楽しいのです。
もちろんゼロからは生み出せないので、紹介されている具体的な手法はまず試しますよ。
何事も他人を真似ることから始まりますしね。
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
- 馬場コンディションの判断方法
- トラックバイアスを使った予想
- 馬場と血統の関係
- コース別の解説
関連書籍
関連書籍の紹介記事もあるので、ぜひご覧ください!
ブログ「としけば!」にようこそ!