今回紹介する1冊はこちら。
『誰にも負けない努力』
【述 者】・・・稲森和夫
【発行日】・・・2019年2月26日
【頁 数】・・・199ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- リーダーとしての素養を身に付けたい方
- 従業員や部下、後輩を持つ立場の方
- 一流経営者の考え方や仕事メソッドを知りたい方
著者はどんな人?
京都セラミック株式会社(現京セラ)の設立者で、1997年より名誉会長を務める。
また、第二電電(現KDDI)の設立者で、2001年より最高顧問。
2010年に日本航空(JAL)の会長に就任し、2015年より名誉顧問。一時経営破綻したJALの再建に大きく貢献。
2022年8月、90歳だった稲森氏は老衰のため亡くなられております。
書評にあたって
本というのは、著者からしたらいわば虎の巻。
核心に触れることを易々と引用してはいけないと僕は考えます。
このブログを読んでいただいているあなたに概要や見どころを紹介し、「本を買って詳しく読みたい!」と思ってもらえるような記事作りを目指しています。
本書の特徴
本書の特徴を短く表すとすれば「リーダーとしての素養を身に付けるための、稲森氏の金言集」です。
稲森氏が今までに語ってきた言葉をまとめた本になります。
(なので、「述者・稲森氏、編者・稲森ライブラリー」となっています。)
以下は本書の序文に書かれている稲森和夫氏の言葉(2018年12月執筆)。
本書に収録した私の発言は、社内外の主にリーダーに向けてお話ししたものである。
私は人前で話をするとき、空理空論でなく、自分自身が経営や人生の様々な課題と格闘する中で、肌身で感じたことを、魂から発した言葉でお伝えするよう努めてきた。そんな私の生に近い言葉で綴られた本書が、読者の皆さんにとり、臨場感あふれる「リーダーシップ指南書」となれば幸いである。
この文章だけで本書の方向性が分かってしまうほど、的確な言葉です。
(本人が書いているのだから当然ですが・・・笑)
企業経営者、会社人のための「稲森メソッド」
本書タイトルにも「仕事を伸ばすリーダーシップ」と書かれているように、本書は企業経営者や、チームリーダーのような立場の方のための本となっております。
以下は本書の一部の引用です↓
自分のことばかり考えている人には誰も付いてこない。社長であれば、会社に代わって、会社になってものを言う。いわば会社の代弁をしなければならない。集団のためにそんな役割を引き受ける、それがリーダーの必須条件である。
他にも「リーダーはこうあるべき」という、43種類の稲森氏の提言とその解説が書かれています。
あまざけの心に留まった内容
内容を少しだけ紹介して、雰囲気を掴んでもらえればと思います。
『毎日、今日よりは明日、明日よりは明後日と必ず変える。』
毎日、今日よりは明日、明日よりは明後日と必ず変える。3年も4年も経つとそれはもう素晴らしい”創造”が生まれているはずだ。
「継続は力なり」というありふれた言葉もあるように、やはり日々の努力は絶対に必要だということが説かれています。
『小善は大悪に似たり』
仏教では「小善は大悪に似たり」という言葉がある。我々はこの大善と小善という考え方を大事にしていこうと思っています。
「相手のことを想って厳しく接している」という内容。似た言葉に「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」がありますね。
『実践の場を踏ませることによって真の度胸をつけさせる。』
鉄火場へ追い込んでいく。そうして度胸をつけさせる。実践の場を踏ませることによって真の度胸をつけさせたときに、真に立派な仕事ができる人になる。
「小善は大悪に似たり」に通じる内容。
「経験」は相手へ攻め込む武器になりますが、僕は「守る盾」にもなると考えています。
場数を踏むことによって「これくらいのトラブルなんてトラブルのうちに入らん」と、動揺せず悠然と対処することができるようになるのは僕も経験済みです。
読了後:あまざけの考え
どの立場の人にも役に立つ内容
僕あまざけは経営者でもリーダーでもない、標準的なサラリーマンです。
「経営者やリーダーのための本を末端社員が読む意味はあるのか?」と思われるかもしれませんが、大いに意味はあります。
雇用者だとか被用者だとかは関係ありません。
その企業、そのチームの全員が仕事を自分のこととして考えて向き合うと凄まじい爆発力を生むと僕あまざけは考えています。
「上司の指示だから。」、「給料を貰えればなんだっていい。」といった受け身の姿勢では自分の成長も止まってしまいます。
なお、本書に書かれている文章の上っ面だけを読むと会社の経営者や従業員向けの本です。
利益を追求する株式会社を経営する稲森氏の言葉なので、もしかしたら職人や研究者には向かない内容かもしれません。
しかし、その内容をどう自分に取り入れるかを考えながら読むだけで受け取り方が変わるはずです。
43個ある提言すべてが自分の役に立つとは限りません。
どの本にも言えることですが、ひとつでも役に立つ内容、少しでも自分の考えが良い方向へ変わった内容と出会うことが出来たなら、本を読む意味はあるのではないでしょうか。
どの時代にも通じる考え方はある
根性。忍耐。やりがい。
昭和の価値観だとか、令和の時代にそぐわないだとか、SNSの普及もあって「昭和時代のやり方」に異を唱える声をよく耳にします。
そして本書の内容は、読者によっては「昭和の根性論」と感じられる方がいるかもしれません。
1932年(昭和7年)生まれの稲森氏ですから、当然「いわゆる昭和」という考え方をお持ちです。
しかし、仕事をする上でどの時代でも変わらない考え方というものはあります。
「古いものは悪く、新しいものが良い」とは限りません。
古いものでも良いものはたくさんありますし、新しいけどダメなものだってごまんとあります。
0か100かで考えるのではなく、今の自分に取り入れることが出来るものを探すという柔軟さが大切じゃないかと、僕は考えています。
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
- 社会が大きく変化を遂げていく今は「リーダー受難の時代」
- リーダーとしての素養を身に付けるための、稲森氏のメッセージ
- 企業経営者、会社人のための「稲森メソッド」
関連書籍
関連書籍の紹介記事もあるので、ぜひご覧ください!
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