今回紹介する1冊はこちら。
『「国の借金は問題ない」って本当ですか?』
【著 者】・・・森永康平
【発行日】・・・2022年10月27日
【頁 数】・・・303ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- 日本は借金まみれだから財政破綻しそうで不安、と感じている方
- 「国の借金」ってそもそも何?という疑問をお持ちの方
- 自分の払った税金は借金返済に使われているのか?という疑問をお持ちの方
著者はどんな人?
著者の森永康平氏は実業家で経済アナリスト。
金融教育ベンチャーの株式会社マネネ代表取締役社長。
過去にはSBI証券や楽天証券などで機関投資家として分析業務に携わったり、国内外で新規事業の立ち上げ、運営を行う。
父は経済アナリストの森永卓郎氏。
書評にあたって
本というのは、著者からしたらいわば虎の巻。
核心に触れることを易々と引用してはいけないと僕は考えます。
このブログを読んでいただいているあなたに概要や見どころを紹介し、「本を買って詳しく読みたい!」と思ってもらえるような記事作りを目指しています。
あまざけの所感
本書の見どころや特徴を紹介していきます!
「日本は財政破綻するかもしれない」という漠然とした不安を払拭
”日本政府の借金は約1,200兆円あり、日本のGDPの2倍以上。
これはG7では最悪の数値で、このままでは財政破綻してしまう。”
このようなことを耳にしたことは少なくないと思います。
いかにも「ヤバそう」という雰囲気満載ですよね。
- そもそもなぜヤバいのか?
- 国民に対する借金と言われていますが、あなたは国にお金を貸した覚えはありますか?
- 国はどこに借金を返すのでしょうか?
本書ではメディア等で騒がれている意見とは真逆の「国の借金は有っても問題がない」と書かれています。
ちなみに、以下は本書からの引用です。
政治家もメディアも国民も、「政府が支出を拡大させすぎると財政破綻する」と本気で思っているからですよ。
政治家は日本国民が選挙で選びますから、その国民の間で「無駄遣いするな」という声が大きければ当然こうなります。
「経済初心者」にも分かり易くまとめられている。
政治家やメディアは嘘ばかり!という過激な内容ではなく(そういう発言も一部ありますが・・・)、「経済とは?」という疑問に分かり易く答えてくれています。
しかし、初心者の為だけの本というわけでは無く、
- こういう考え方もあるんだ。
- 経済のことは一通り勉強したけど、改めて復習になった。
という新たな「気付き」もある本だと僕は感じました。
国の支出は民間の収入
国が国債を発行して資金を調達し、それをもとにインフラ整備などの支出を行います。
国の支出は受注した民間企業の収入となり、その企業に勤める人たちの給料となります。
このように経済が循環していくと考えると、国の支出は経済を成長させるのに必要だと感じますよね。
「じゃあ国が金融機関から国債を買い取らないといけないときの原資はどこから調達するのか?」
当然このような疑問は出てきますし、一番気になるところはココですよね。
本のタイトルからも分かる通り「借金しても問題ない」がゴールなのですが、その理由が詳しく、そして簡潔に書かれています。
国の借金と言われる「国債」についての解説にオススメの本は「新・国債の真実」です!
GDPの計算式には「政府支出」が含まれる
GDP。国内総生産。
国内でどれだけの新たな資産が生まれたのか、という経済状況を図る指標ですよね。
これが他の先進国と比べて、日本が何十年も伸び悩んでいることはあなたもご存じかと思います。
「失われた30年」とかよく耳にしますよね。
欧米のような技術革新が無いだとか、低賃金により優秀な人材が海外に流出しているだとか、この問題については様々な意見が飛び交っています。
そもそもGDPはどのように計算するのか。
計算式は以下の通り。
GDPって国民が頑張って働いて生み出した価値の合計じゃなかったの?
この計算式でいくと、国が支出を増やせばGDPは伸びるっていうことですよね。
たとえ国民の生み出す価値が変わらなくても、です。
先にも書いた通り、国の支出はインフラ整備などに代表される民間への事業委託や先進的な研究に対する費用負担などです。
- インフラが整備されて人が集まるようになり、経済が活性化した。
- 地道な研究のおかげで民間企業に技術革新が起き、新たな価値が生み出された。
「国の経済が成長していく」というのはこういうことだと書かれていますし、僕あまざけもそう考えます。
実際、中国は国家による莫大な投資により世界2位の経済大国になりましたしね。
僕たちの純粋な疑問の答えがある
- 「何十年もお金を借り続けているのに財政には問題がないの?」
- 「借金しても問題ないのなら無限に借りればいいのでは?」
- 「借金しても良いのなら税金は必要ないのでは?」
このように、疑問はいくらでも浮かんできますよね。
本書には「借金は問題ない」つまり「返さなくていい」といったことが書かれています。
いや、厳密には返しているのですが、その為の資金調達に他の支出を削ったり税金を使ったりはしていないというのです。
お金が湧いて出てくるとでも言うのでしょうか。
ここで登場するのが「現代貨幣理論(MMT)」という経済理論。
本書はこの考えを元にして書かれています。
「MMT」という経済理論が中心
MMTとは、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)の略称で、経済理論の一種です。
概要は以下の通り。
現代貨幣理論の代表的な主張をまとめると、以下の3つのことがあげられます。
・自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない
・財政赤字でも国はインフレが起きない範囲で支出を行うべき
・税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みである
超々ざっくりと簡単な言葉で要約すると、
「円」という通貨を自分で印刷できる日本はいくらでもお金を増やすことができる。
あとは、インフレにならないように支出を抑えれば税金によって自動的に社会からお金を消すことができる。
という感じでしょうか。
この理論については経済学者の中でも賛否両論あるそうですが、本書はこの理論が正しいという前提で進んでいきます。
この理論に基づき、「国の借金は問題がない」ということを分かりやすく対話形式で解説されています。
著者が経済についてあまり知らない大学生のキャラに向けて説明していくという対話形式のスタイルなのですが、なぜかこの大学生キャラもMMTが何なのかを知っている前提になっています。
僕あまざけ自身はそもそもMMTを知らなかったので、いきなり「MMTが~」という話になって驚きましたが、この理論を知らなくても本書を読み進める上では全然問題ありません。
「税金の使い方」にも言及
ひとくちに「税」といっても、その使い方は異なります。
例えば、「国税である消費税」と「地方税である住民税」は徴収する理由が異なります。
支払う側からすると金額が異なるだけで同じお金ですが、国税には国税としての使い方、地方税には地方税としての使い方があるんですね。
ただ、誤解を招かないようにひとつだけ本書の内容を要約し抜粋すると、
「税金は借金返済のための財源ではない」
ということ。
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
- 本書は経済の教科書
- 財政が破綻するという噂の真偽
- 国債と税金の役割
- 国会議員ですら誤解している経済の本質
関連書籍
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