競馬ニュースや競馬新聞でよく目にする馬のケガや病気について知ることで馬への理解を深めよう、という記事です。
馬をアスリートとして見ることが出来れば競馬を楽しむ幅も広がるでしょう!
当記事は僕が競馬ファンとしての必要最低限の情報をまとめたものになっておりますのでご了承ください。
どういう病気?
喘鳴症(ぜんめいしょう)と呼ばれる馬の喉の病気です。
疾患すると呼吸時に異音が聞こえることから「ノド鳴り」と呼ばれます。
競馬ファンは「喉の病気で呼吸がしづらくなって能力が発揮できないんだな」という漠然とした知識しか持っていない人が多いのではないでしょうか。僕はそうです。
馬の育成に関わっている訳ではありませんのでこの程度の知識でも十分なのでしょうが、せっかくなので一歩踏み込んでみましょう。
ひとくちに喘鳴症と言っても分類があります。その中でも代表的なものを紹介します。
喉頭片麻痺(LH)
「こうとうへんまひ」と読みます。
喉の入り口にある左右の軟骨を動かす筋肉が神経のマヒによって動かなくなり、それにより軟骨が完全に開かず気道が狭くなります。
狭くなった気道では吸った空気の流れが悪くなり、呼吸をするたびに「ヒューヒュー」という、空気が狭い場所を通るときに聞こえる音がする症状のことをいいます。
気道が狭くなると、吸った空気を体内に取り込みにくくなります。
手術に成功したダイワメジャーのように大きな実績をあげることもある反面、ハーツクライやゴールドアリュールのように引退を余儀なくされる場合もあります。
このように、喘鳴症の中でも競走能力に最も影響のある病気です。
軟口蓋背方変位(DDSP)
「なんこうがいはいほうへんい」と読みます。
馬が食物を摂取する際に気道をふさぐ役割をする喉頭蓋が通常喉頭蓋の下のある軟口蓋に潜り込んでしまう症状で、走行中に「ゴロゴロ」と喉が鳴る病気です。
幼少時に発病することが多いですが、ほとんどの場合、成長とともに治まるのが喉頭片麻痺と大きく異なるところだそう。
この症状を抱えている有名な馬はジオグリフやタスティエーラ。
なんと症状を抱えたまま走っています。
ただ、調教師などのインタビュー記事を読む限りでは常に発症している訳ではなく、喉が鳴らない場合もあるみたいですね。
喉頭蓋エントラップメント(EE)
「こうとうがいエントラップメント」と読みます。
喉頭蓋は喉頭の入り口にある弁のようなもので、飲み込む食物が気管に入り込まないように蓋をする役割を持っていますが、その喉頭蓋を披裂喉頭蓋ヒダが覆ってしまう病気です。
簡単な外科的手術で治り、競走能力への影響はほとんど無いそうです。
有名な馬ではグランアレグリア、シーキングザパール、リンカーン、シャフリヤールなど。
馬への影響は?
動物は激しい運動をする際、大量の酸素が必要となります。
動物の中でも身体の大きなサラブレッドがレースというとても激しい運動をするため、酸素の取り込みが非常に重要になります。
ノド鳴りによって酸素を最大限に取り込めない状態で全力疾走すると当然息苦しくなり、走ることを止めてしまいます。つまり、「速く走る」という能力を十分に発揮することができなくなります。
サラブレッドのように「速く走ること」を生きる糧としている動物では、運動能力を発揮できないのは由々しき問題。普段から傍にいる厩務員や騎手が異常に気付き、適切な治療で良くなることを祈るばかりです。
おわりに。
「喘鳴症」という喉の病気の総称のことを「ノド鳴り」という俗称で呼ばれ、その喘鳴症にはさまざまな種類があることが分かりました。
なお、当記事で紹介していない喉の症状も存在します。
競馬ニュースなどでは「ノド鳴りの症状が~」と一括りにされますが、その症状を知ることができれば馬の状態の参考にすることが出来ますね。
喘鳴症に限らず、常に病気とケガのリスクを背負い、生きる為に走るサラブレッドには頭が上がりません。僕も「生きる為」に仕事を頑張ります。
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