分析で重視する項目
- コース形態による特徴
- ペースチェンジインデックス
- 走破時計と上がり3F
- 馬場状態
これらのデータを、当該週のトラックバイアスや出走馬に当て嵌めて好走馬を予想します。
「コースの特性・馬場状態・時計の出方で、能力が一番マッチしている馬を探す予想」
です。
コース形態による特徴
直線の長さ、起伏、コーナーの角度や数、幅員、右回り左回り、芝生の種類・・・。
日本の競馬場の形はすべて異なります。
どの馬にも「コースの得手不得手」があり、それは血統から読み取れる場合があります。
JRA-Vanの「Target」というソフトを使い、6月1日を起点とした過去5年間のデータを使ってコース別に「時計・血統・枠順」の好走傾向を抽出します。
そのデータを更に「PCI」・「馬場状態」・「レースの格」で区別し、その条件での傾向を調べます。
この他にも、様々な予想家さんが提唱している「コースの癖」も大きなヒントにしながら予想していきます。
「なぜこのコースが得意なのか」という本質の解説をしていたりと、なかなか興味深くて勉強になる内容が多いので紹介していければと思っています。
ペースチェンジインデックス(PCI)
【ペースチェンジインデックス】という、JRA-Van「Target」で提供されている指数でレースペースの分類をしていきます。
PCIを簡単に説明すると、
「各馬の上がり3Fタイムとそれ以外のタイムを比べて速いか遅いかを表したもの」
です。
計算式は、
(上がり3F以外の1ハロン平均タイム × 3 ÷ 上がり3Fタイム) × 100 – 50
となります。
割りとシンプルですね。
この計算結果が「50」であれば前後半が同一程度のペースだということ。50以下だと前半の方がペースが速く、51以上だと後半のペースの方が速かったという事になります。
ただ、注意が必要なのは計算結果が「50」=そのコースにおける平均的なペースというわけではないということ。
極端な数字で分かりやすく説明しましょう。
・芝1200mで、前半600mを30秒で走り、後半600mも30秒で走った馬
・芝1200mで、前半600mを60秒で走り、後半600mも60秒で走った馬
この2頭のPCIは同じ「50」です。
走破時計が全く違う2レースでも、PCIでは「同じミドルペース」として扱われます。
この他にも、ダート短距離戦などは前半のペースが速いほうが多いのでPCIは50以下になることがほとんどです。
なので、「PCIが50だから平均的なペースのレースだった」というわけではなく、むしろペースが遅いイレギュラーなレースだったということになりますね。
このように、PCIという指数は「そのレースのどこで速度が上がったか」を示すものなので、この指数単体ではあまり意味が無くて、走破時計や馬場状態も加えて総合的に判断しなければなりません。
当ブログでは、3着馬までのPCIを平均した「PCI3」を用います。
上位3頭に絞るのは、着順下位の馬のデータも含めてしまうとそのレースの質が正しく反映されないからです。
ペース区別の基準は以下の通り。
- ハイペース:PCI3の範囲「1~48」
- ミドルペース:PCI3の範囲「49~55」
- スローペース:PCI3の範囲「56~」
走破時計と上がり3F
前述の通りPCIという指数は「そのレースのどこで速度が上がったか」なので、走破時計の優劣や上がり3Fの質は関係ありません。
スローペースが得意な馬でも、「鋭い末脚で一気に差し切るタイプ」なのか「溜め逃げするタイプ」なのかで馬の特徴や能力を発揮できる条件が異なります。
なので、毎年6月1日を起点とした過去5年間のデータから求めたコース別の走破時計・上がり3Fの平均値と中央値を、「求められる基準となる時計」とします。
瞬発力が無い馬だったら上がり勝負になりやすいコースには向いていないですし、全体時計が速いと脚を溜められない馬だったら息の入りやすいコーナーが多いコースが向いている、といった感じで予想ができます。
とはいえ時計は馬場状態や出走メンバーの影響も多分にあるので、こちらもPCIと同じく「参考資料のひとつとして総合的な判断に用いる」ことが大切。
当然、未勝利馬とG1馬では絶対的な能力差がありますので、「新馬~2勝クラス」の下級と「3勝クラス~オープン」の上級で区別します。
同じ上級でも3勝クラス馬とG1馬では大きな能力差があるのですが、これ以上細分化してしまうとサンプル数が少なくなってしまうので、この分け方にしています。
馬場状態
JRAが発表している馬場状態や含水率は一見細かく公表してくれている感じがしますが、競馬予想では使いにくい場合が多いです。
■芝コースについて
各競馬場の芝は、基本的に夏場に張替えと養生を行います。
なので「秋開催初日の、馬場全体にびっしりと根付いている芝生の良馬場」と「張替えてから1年間使われ芝が剥がれてボコボコした春の芝生の良馬場」では、同じ良発表でもコンディションに大きな差があるのはレースを見ていると分かります。
開催時期によって時計の出方や馬の走る場所も違ってくるのでレースの質が異なるのは当然で、馬場状態もホームストレッチとバックストレッチ、馬場の内外でも異なるので、これらを一括りにしてしかも4種類だけで区別しているJRA発表の馬場状態がいかに大まかなのかが分かると思います。
ただ手に入れられるデータはJRAのものしかありませんので、JRA発表の馬場状態データを参考にして予想の際に自分で修正を加えるといった感覚的な作業が入ります。
予想家である”馬場虎太郎”さんのような独自に長年集めたデータを使わない限りは細かな馬場予想はできないので、これが予想家さんの誰にも真似できない強みですよね。
■含水率について
測定されるのは芝・ダートともに4コーナーとゴール前のみ。
暗渠管が設置されている競馬場のホームストレッチは水捌けが良いので含水率が下がりやすいですが、設置されていないバックストレッチでは含水率が高くて馬がノメってしまい直線に向くまでに嫌気がさして勝負にならないということだってあります。
競馬は直線だけで行われるわけではないので、この含水率というのはイマイチ使い道が分かりません・・・。
このように、馬場状態はレースを見ないと分からないことが多いです。
実際に自分の目でレースを見て、馬の走り方や走った場所から馬場状態を判断する必要があります。
データと経験と感覚で予想するので、このあたりも競馬が楽しい所以ですね。
最後に。
今まではディープインパクト産駒とキングカメハメハ産駒の2大巨頭が席巻していましたが、この2頭亡き今の種牡馬界は群雄割拠の様相です。
サンデー直仔の大物であるハーツクライやダイワメジャーがいる一方で、現在ではロードカナロアやキズナ、エピファネイア産駒など、大物種牡馬の孫世代から活躍馬がどんどん現れています。
環境が変われば考え方も変わる・・・、僕自身も常に勉強して更新中です。
コース別のデータは年単位で括っているため更新は1年ごとになります。
ですが特筆すべきデータがあれば追記しますし、予想の考え方などは常に変化していきますからその都度更新できたらなと考えております。