『ビビリ投資家が考えた、買ったら永遠に売らない株投資法』【書評9冊目】

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あまざけ
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今回紹介する1冊はこちら。

ビビリ投資家が考えた、買ったら永遠に売らない株投資法

【著 者】・・・福山貴義(投資家・投資哲学研究家)
【発行日】・・・2021年11月4日
【頁 数】・・・191ページ

こんな人にオススメします!

  • 投資に対して不安がある方
  • 株式投資に興味のある方、これから始めたい方
  • 長期的に株式投資をしたい方
  • 「じっくりコツコツ」というスタンスの方

著者はどんな人?

著者の福山貴義氏は、1979年生まれの個人投資家です。

年収180万円、貯金ゼロ、サラ金からの借金30万円、フリーターというステータスから、1,400冊の金融書籍を読み猛勉強

わずか3年で世代平均を大幅に上回る資産を築いたとのこと!

あまざけの所感

本書は、ファンダメンタルズ分析による株式への長期投資について書かれた本です

「長期投資への心構え」
本書が最も伝えたいことは、これだと感じました。

  • 長期投資はギャンブルではない
  • 企業を調べ尽くすことによって、一時的な暴落にも狼狽えない

本書ではこの2点に重きを置いて解説されています。

しかし注意すべきなのは、本書ではファンダメンタルズ分析の手法が詳しく解説されているわけではないということです。

著者の分析方法も紹介はされていますが、要点を絞ってザックリとした内容です。

”要点を絞ってザックリとした内容”に仕上げられているので、とても分かりやすく、すぐに実践できることばかりでした。

「スタートラインへの立ち方とスタートの切り方は教えます。だけど、2歩目からゴールまでは自分の脚で走りましょう」という感じですね。

本の内容

それでは、本書の要点を紹介していきます。

投資はギャンブルではない

第1章は、「株式投資への誤解」について書かれています。

  • なぜ長期投資なのか
  • 投資はギャンブルではない
  • 騰落に一喜一憂しない

これらについてしっかりとページを割いて持論を解説されています。

誰それが〇億円儲けた、日経平均が大暴落、今この業界が熱い、など、
センセーショナルなタイトルにはインパクトがあり人々の興味を引き付けますし、視聴に結びつきやすいのです。
それに比べて、株式投資の本質に関する情報というのはすごく地味ですし、残念なことに興味を持つ人もずっと少ないのが現実です。

あまざけ
実際、書店の投資コーナーを見ても、面陳列されている本はデイトレードやFXなど投機的な本が多いと感じます。

今だからこそ、日本株式

「日本の未来に悲観的になっている人が多い今のうちに、株をできるだけ買っておこう」というのが著者の考えです。

もちろん、それに対しての根拠や理由は本書で述べられています。

ファンダメンタルズ分析をするからには、決算短信などの報告書だけではなく、

  • 実際に商品やサービスを使ってみた感想
  • 商品が世間にどれだけ浸透し、受け入れられているか

などの、「日常生活で感じるその企業の存在感」や「消費者として肌で感じること」を重要視しています。

こればっかりは、企業が作成する報告書からは読み取ることができませんよね。

だからこそ、日本に住んでいるのであれば身近に感じることができる日本企業への投資をするべきだ、というのです。

実際、長期投資を推奨する本の中には、「業務内容をよく知らない会社へ投資はするな」と書かれているものもあります。

投資はプラスサムゲーム

ボードゲームのオセロや麻雀のように、自分の得点は相手の減点になるといったゲームは「ゼロサムゲーム」

宝くじなどのギャンブルは、参加者全員の賭け金から主催者の利益(テラ銭)を差し引き、残った金額を当選者に分配するというもの。
これは「マイナスサムゲーム」と呼び、参加者の損益を合計すると賭け金の合計より少なくなります。

ギャンブルや短期投資、FX、仮想通貨取引などはゼロサムゲーム・マイナスサムゲームに当たります。

翻って、ゲーム参加者の損益を合計するとプラスになるゲームのことは「プラスサムゲーム」と呼びます。

長期投資はプラスサムゲームに当たります。

株式会社に投資しその企業が成長すると、投資した人全員が利益を得る。

この利益は、麻雀のように他人から奪ったものではありませんし、主催者によって割り引かれたものでもありませんよね。

多くの人たちが投資をしないという選択をしてしまい、その人たちが本来であれば享受できたであろう経済的恩恵を自ら放棄してしまうことになります。
社会は人々がより多く投資するほど成熟し豊かになっていくものです。
日本は諸外国に比べて多くの人が株式投資というものに対して負のイメージを持ってしまっているがゆえに、数々の弊害が生まれています。

描いた成長シナリオに変化がなければ暴落時でも保有を続ける

著者は、長期投資で必要となるものは「耐え抜く胆力」だといいます。

暴落は避けられないことだと覚悟を決め、株価が回復するまでじっと耐え抜くという胆力を発揮できるのであれば株式投資において成功できると述べているのです。

その企業への投資を決断した際に描いた成長シナリオに変化がないのであれば、目先の業績は無視し、強い気持ちで保有を継続する。

永遠を念頭に株の保有を続けていく私たち「買ったら永遠に売らない株投資家」にとっては「企業が経営理念を有言実行している」という事実ほど心強いものはありません。
業績に向かい風が吹いたとき、理念のもとに職員全員が一丸となって立ち向かっていくことができる企業ならば、その困難を乗り越えていく可能性が高いからです。

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実際、株式市場は過去何度も暴落を経験してきましたが、そのたびに回復し、株価は暴落前の水準をこえて大きく上昇いていくとうことを繰り返してきましたよね。

著者の分析方法の紹介

数ある上場企業の中から購入基準を満たしている企業を選別する「スクリーニング」という作業。

さまざまな方法で優良企業を見つけ出します。

  • 複数の指標を使って絞り込む(PER、PBR、配当利回り、ROE、自己資本比率)
  • 日経新聞で情報収集
  • ユーザーとして実感する
  • 増収増益基調が明らかな企業
  • 安定配当及び増配の企業
  • 理想のキャッシュフローの形
  • 取締役の自社株の保有率

それぞれ具体例や数字も用いて解説されています。

低い理解レベルで投資を行ってしまうと、株価の下落局面で必ず不安になります。
頭では理解しても、それを心にまで落とし込めていないという場合、少しの株価下落でも自分の決断を疑い始めてしまいます。そうなると成功は望めません。
そうならないためにも、「この企業の事業内容を自分は本当に(頭だけではなく心でも)理解したといえるか」と自問することを怠らないようにしてください。

複利の効果で雪だるま式に増やす

長期投資なので、複利についてはもちろん言及されています。

複利とは簡単に説明すると、運用で増えた利子を元本に加えてさらに運用することです。利子に利子がつくことにより、長期運用すればするほど利子が増えていきます。

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ちなみに、ウォーレン・バフェットの唯一の本人公認自伝のタイトルは「スノーボール」です。

複利についての解説をしている記事(「投資」と「投機」の違いとは。)がありますので、ぜひコチラもご覧ください!

本書のポイント

最後に本書のポイントをまとめておきます。

この本のポイント

  • 投資はギャンブルではない
  • 情報を得やすい日本企業へ投資する
  • 長期投資では「耐え抜く胆力」が必要
  • 下落局面でも不安を感じないくらい、企業について理解を深める
  • 長期投資は複利の効果が絶大
あまざけ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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