今回紹介する1冊はこちら。
『ズボラ株投資』
【発行日】・・・2022年3月10日
【頁 数】・・・223ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- 株式投資に興味のある方
- 副業として投資をしたい方
- のんびりとトレードしたい方
- デイトレードは忙しくて苦手・・・という方
著者はどんな人?
著者の「草食系投資家Lok」氏は個人投資家。
- 某大学院の統計学専攻を卒業
- 某金融機関で16年間勤務
- 日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト
- ファイナンシャルプランナーとして、個人の金融相談や投資講座の運営を行う
- 投資系YouTubeチャンネルの登録者数は11.4万人(2022年2月時点)
株式、FX、不動産投資ですでに億単位まで資産が増えているそうです。
あまざけの所感
本の内容を要約しつつ、僕の所感を述べていきます。
投資方針は「農耕民族的」
著者の肩書にもあるように、「草食系」な投資方法を提唱されています。
その方法とは、著者曰く農耕民族的な手法であり、以下の3つを基本原則としています。
・【アンチ肉食系】
ハイリスクハイリターンは目指さず、ゆったりとした投資生活で疲弊せず、本業に影響を出さない。・【負けない投資】
大儲けよりも、大損を回避する。・【隣の芝生は見ない】
投資は他人に流されるとうまくいかないことが多い。
投資と聞くと、
「株で1億稼いだ」とか、
「30代でFIREした」とか、
「配当金で悠々自適」とか、
「投資の利益で生活費を賄い、本業ではやりたい仕事だけを選べるようになった」とか。
そんな魅力的な成功体験をよく耳にします。
実際、これらを達成した方々が本を出版しそのスキルを紹介してくれていますし、本書もそうです。
しかし本書の著者はさすが草食系とでも言うべきか、下記のように注意喚起してくれています。
日本では投資の教育がなされていないこともあって、運転免許取りたての人がいきなりF1レースに参戦するような暴走運転ならぬ”暴走投資”を平気で行ってしまうケースが多いのです。
これ、僕も本当に大切なことだと感じます。
「分相応」。
まずは身の丈に合った戦場で戦うべきです。
本書は「短期投資」の技術書
株式の投資期間には、
- 年単位で保有し企業業績とともに成長する長期投資
- 数分~1週間程度の保有期間で売買を繰り返す短期投資
大きく分けると上記2種類の手法があるわけですが、本書は「短期投資」の技術書です。
1週間程度の保有を目安にした運用方法が紹介されています。
本書タイトルに「投資」と書かれていますが、僕あまざけは短期投資については「投資ではなく投機。つまりはギャンブル」だと考えています。
投資と投機の違いについては別の記事で解説していますので、詳しくはこちら(「投資」と「投機」の違いとは。)をご参照ください。
短期投資は「明日の株価は、上がるか、下がるか」という、極端に例えると丁半博打のようなもの。
企業の成長に合わせて長期間で資産を増やしていく「投資」とは質が大きく異なります。
ギャンブルに対する善悪論や好き嫌いの話ではなく、「性質がまったく異なるよ」ということを知っておくべきです。
本書のような短期投資の本を読む際は、まずこの違いを理解した上で読み始めましょう。
努力すれば勝ちを引き付けることが出来る
前項では、「短期投資はギャンブル」という、どちらかというと良くない印象を与えてしまいました。
しかし、短期投資と丁半博打とで異なるところは「努力で当たりに近づけることができる」ということ。
コイントスで裏か表かを当てる場合、的中確率は50%です。
法則なんてものはありませんし、分析しようがありません。
しかし、短期投資はコイントスや丁半博打などとは違います。
本書には「努力で当たりに近づける方法」が書かれています。
株価チャートの動き、企業の業績、取り巻く世界情勢や経済環境、他の投資家の思考・・・。
株価の予測はこれらを分析しますが、本書で推奨している分析方法は株価チャートを使う「テクニカル分析」。
「テクニカルアナリスト」という株価チャート分析の専門家である著者。
分析については折り紙付きです。
参考にしないという選択肢はありません!
なんでテクニカル分析?
なぜなのでしょうか。
その答えは、「情報収集にかける資金量や人材、分析量、情報ソースの面で、個人投資家は圧倒的な弱者だから」と著者。
副業として投資するレベルの人間が、本業としているプロに勝てるわけないですよね・・・。
僕自身、ファンダメンタル分析の本も何冊も読みました。
勉強になる本ばかりでしたし、紹介したい本もたくさんありました。
でも「経営状況を分析し、今後の展開を判断する」なんて、会社経営をしたことがない自分にはイメージすることは難しいと感じました。
以下は本書からの引用です。
プロの機関投資家が持っている情報量は個人投資家の数倍、数十倍に達します。1日中、株のことを考えるのが仕事の彼らが「チーム」を作って”束”になって分業体制で投資を行っています。
これでは、個人投資家がプロと同じ土俵で戦っても勝てるわけがありません。
プロがプロ同士で戦い競い合っているファンダメンタルや企業価値分析の土俵とは別の土俵で戦うべき。
その土俵とは、「株価」というプロでも個人投資家でも誰もが等しくアクセスできる情報に注目した「テクニカル分析」なのです。
株価チャートにはすべての情報が反映されている
良い情報も悪い情報も、個人投資家もプロも、すべての情報や考えが盛り込まれて形になったのが「株価」です。
NYダウ平均を考案したチャールズ・ダウの「株価の値動きはすべての情報を織り込む」という法則も有名ですよね。
私の見解としては、「まずはチャート分析、テクニカル分析を極めることが大切。
でも決算とかその会社の財務分析といったファンダメンタル分析をことさら無視する必要はない」というものです。
ファンダメンタル分析は、個人投資家もプロ並みの情報分析ができるのならばやったほうがいいです。ただ、本業で忙しい個人投資家には土台無理な話。
ならば、より手っ取り早く身につけられるテクニカル分析を最初に学んでみるのもいいのでは、と私は思ってます。
短期売買におけるリスク管理で一番有効なのは「損切り」
損切については、ページをしっかりと割いて論理的に述べられています。
僕あまざけも、実際の短期投資では「今の下げは一時的。数日も経てば元に戻すだろう」と考えてしまうことが割りとあります。
損を突き付けられるのって、精神的にとてもしんどいですよね。
だからこそルールを決めて機械的に売買していかないといけない、ということが事細かに書かれています。
「大切なのは「マインド」。損切りできるか、できないかは気持ちの問題」と著者。
米国市場や米国経済にも注意を払う
日本とアメリカの経済指標を比べると、上げ下げの幅こそ違えど騰落のタイミングは似ていて、同じような動きをしています。
米国でインフレが深刻になって利上げに踏み切ったとき、日本円や日本株が叩き売られたりしたことを実際に目の当たりにされたかと思います。
米国は世界一の経済大国ですから、動向は必ずチェックしましょう。
今や日本の東証1部に占める外国人投資家の売買代金は7割を超えています。
外国人投資家は米国をはじめとした世界中の株式市場の動向を見ながら、日本株に投資します。
カラ売りは、買いだけの売買に慣れてから
株の売買には「信用取引」という方法があります。
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株を証券会社から借りてきてまずは市場で売り、その後、市場から同じ株数を買い戻して貸し手に返す方法。
持っていない株をはじめに売るので、通称「カラ売り」と呼ばれています。
売った時の株価より買い戻した時の株価のほうが安ければ、その差額が利益となります。
なので、下げ相場のときでも利益を得ることができます。
ただ、これは買いの取引と比べると非常にハイリスクです。
保証金を担保にしなければなりませんし、別途手数料も掛かります。
著者も「初心者の方は買いだけで勝負して、損切りなども含めて、短期売買に慣れてください。」と注意を促しています。
週1回程度の短期売買で月10万円の利益を狙う手法
本書で紹介されている投資方法は「待ち伏せピンポイント投資」というもの。
チャート上に「買い(もしくは売り)」の鉄板シグナルが出るまでひたすら待ち伏せする投資法で、四六時中トレードするのではなく、チャンスの局面だけを狙い撃ちするというもの。
チャートの動きや毎日のローソク足を見ながら売買するかを決めるので、1日1回チャートを確認すれば良いのです。
これなら、本業を疎かにせずとも出来そうですよね。
本書の投資法に合うオススメ24銘柄も紹介されていますので、読んですぐに実行に移せるのが嬉しい点です。
注意として、著者はファンダメンタル分析を蔑ろにしているわけではありません。
本書に下記のように記されています。
株価を動かす原動力になるのは業績です。これは絶対!株式投資では、あくまでファンダメンタルが主でテクニカルが従。
機関投資家並みに分析することは難しいけど、分析ファクターとしては取り入れるべき、ということですね。
「Trading View」というチャートソフトの紹介
本書では「Trading View」というチャートソフトが紹介されています。
このソフトでは、値動きと業績を簡単に比較でき、テクニカルとファンダメンタルを融合させた分析ができるとのこと。
著者が実際に使っているソフトなので、利点や使い勝手などリアルな所感が書かれているので参考になります。
著者が提唱する投資の心構え
「別に本業さえしっかりしていれば、投資する必要なんて全然ない」というのが著者の考え方として書かれています。
短期売買がもたらす心理的なストレスにどうしても耐えられない、という人は「やらないこと」も貴重な選択肢の1つ。
チャートを見て「次どうなるか?」と自分なりにシナリオを立てながら考えるのが楽しい!勝っても負けても、「ほ~、そう来たか、それはおもしろい」と結果を楽しめるようになるぐらい心が寛容でないと、短期売買向きとはいえないかもしれません。
コツコツと、堅実に、着実に稼ぎたいという方でしたら、短期投資はせずに本業を頑張って売上UPや出世のために努力するほうが良いのかもしれませんね。
もしくは長期投資をすることも選択肢のひとつ。
本記事の序盤にも述べましたが、「短期投資はギャンブルのようなもの」です。
本書を読んで、日常にスパイスを加えながら楽しい投資生活を送れることが一番だと僕あまざけは考えております。
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
- 投資方針は「農耕民族的」
- テクニカル分析を使った「短期投資」の技術書
- 損切りの大切さ
- カラ売りは買いだけの売買に慣れてから
- チャート上に買いor売りのシグナルが出るまで待ち伏せする投資法
- あくまでファンダメンタルが「主」でテクニカルが「従」
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