今回紹介する1冊はこちら。
『知っているようで知らない国債のしくみ』
【著 者】・・・久保田博幸
【発行日】・・・2023年7月21日
【頁 数】・・・239ページ
こんな人にオススメします!
- 国債の基本について知りたい方
- ニュース等でよく聞く「金利」について知りたい方
- 国債が経済に与える影響を知りたい方
著者はどんな人?
- 1958年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学法学部卒。
- 証券会社の債券部で14年間、国債を中心とする債券ディーリング業務に従事する。
- 幸田真音氏ベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。
- 専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策について詳しい。
- 現在、金融アナリストとしてQUICKなどにコラムを配信している。「牛さん熊さんの本日の債券」というメルマガを配信中。
- 2015年まぐまぐ大賞で資産運用部門第2位を受賞
- 日本アナリスト協会検定会員
本書の特徴
「政府の国債発行額」、「日米金利差」・・・。
日々、ニュースを見ていると「国債」や「金利」といった言葉を耳にすることが多いです。
国債や金利は、『言葉自体はよく聞くけど、いざ説明しろと言われたら出来ない・・・』という代表格の言葉ではないでしょうか。
本書のタイトルの通り、「知っているようで知らない」国債について分かり易くまとめられている教科書的な本です。
国債の基本を通じて「本書の言いたいこと」は大きく3つに分類されます。
本書が伝えたいこと
- 国債は金融を支えるインフラ
- イールドカーブ・コントロールの問題点
- 日銀の金融政策と国債とのについて
国債の役割と種類
基本の「き」から書かれていますので、国債のことを初めて知る方でも分かりやすいのが特徴。
金利があるからこそ金融が機能する
企業運営や住宅ローンなど、金融機関からお金を借りたときに返済額に上乗せされる金額を示した割合が「金利」ですよね。
国債を知るうえで「金利」はとても重要になります。
- 金利が上昇したらどうなる?
- 日本と外国との金利差が広がったらどうなる?
など、金利が経済にどのような影響を与えているのかということは本書のいたるところに書かれています。
日銀の金融政策について
日本国債を知るうえで欠かせない金融政策といえば「マイナス金利政策」と「イールドカーブ・コントロール」。
これらの政策はどのような効果があったのか。これを知ると国債だけでなく日本経済のことをグンと理解できるはずです。
元国債ディーラーで金融アナリストの著者が警鐘を鳴らしている部分でもあり、読み応えのある部分です。
読んで感じたこと
元国債ディーラーが教える、国債の基本が書かれた本書。
教科書のように重要な箇所がまとめられており、使われている言葉や言い回しも日常的なものばかりなので「国債の勉強としてまずは読んでみるか」と軽い気持ちで読み始めることができます。
ニュースで聞かない日は無いと言っても過言ではない、「円安」と「物価の高騰」というワード。これらについても国債が密接に関わっておりますので、本書はそれらの理解への一歩になります。
ですが基本的な知識だけにとどまらず、「金融市場に対する日銀の政策とその影響」について著者の意見が多く取り入れられています。
僕個人としては基本情報よりも「日銀の金融政策についての解説」と「経済への影響」に興味を惹かれました。
平成以降の日本がどのような経済を辿ってきて今に至るのか、外国とは状況が異なる日本経済だからこその金融政策など、いわゆる「時事ネタ」も多く解説されています。
「明日からのニュースの見方が変わる」と本書の帯に書かれている通り、用語や仕組みを知ることが出来れば一見関係の無さそうなニュース同士の繋がりが見えてくるはずです。
ひとつ注意すべきなのは、「本書1冊だけでなく、国債についてかかれた他の書籍も参考にすべき」ということです。
経済に正解はありませんので、それゆえ専門家でさえも意見はさまざま。国のトップが変われば経済への方針がガラッと変わるくらいですからね。
本書のポイント
最後に本書のポイントをまとめておきます。
この本のポイント
- 「知っているようで知らない」国債について分かり易くまとめられている
- 日銀の金融政策と国債とのについて
- 金融市場に対する日銀の政策とその影響についての著者の意見
関連書籍
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