お金との付き合い方について子どもと一緒に考えよう。『こどもお金ルール』【書評6冊目】

- マネーリテラシー
あまざけ
あまざけと申します!
ブログ「としけば!」にようこそ!

今回紹介する1冊はこちら。

こどもお金ルール

【著 者】・・・高濱正伸(花まる学習会代表)
【監 修】・・・伊井哲朗(コモンズ投信㈱社長)
【発行日】・・・2022年3月1日
【頁 数】・・・157ページ

本のタイトルの通り、本書には、

  • こどもがお金を使うときのルール
  • こどもに教える、お金のルール

についてが書かれています。

あまざけ
それでは、さっそく本を紹介していきます!

こんな人にオススメします!

  • 「お金の勉強」をこどもに教えたい方
  • こどもへの、お金の使い方や価値観の説明方法を知りたい方
  • 子どもと一緒にお金や経済の勉強をしようとお考えの方
  • 読みやすく理解しやすい論調で書かれている本で基礎を勉強したい大人の方

学校では「お金」のことを教えてはくれません!

なので、大人も能動的に勉強しなければ身に付きません。

あまざけの所感

総ページ数が157ページと少なく、論調や言葉遣いも非常に分かりやすいものとなっているので、1時間もあれば読み切れます。

「お金の基礎勉強として、まずは分かりやすい本を読んでみよう」というきっかけで読むのも大いにアリです。

ただし本書は、「子ども向けの本」ではなく「子どもに説明する為の大人の本」です。

なので、マネーリテラシーがゼロの大人では本書を読んだだけでは子どもに上手くお金の説明をすることは出来ません。

世に出回っている、いわゆる「マネーリテラシー本」や「お金や投資の教養本」というものは、当然ですが大人向けに書かれています。

なので、その内容をそのまま子どもに伝えても理解するには無理がありますし、噛み砕いて子どもに説明するのは意外と難しかったりします。

本書と他のマネーリテラシー本を組み合わせることによって、「子どもへの説明」、「質問の受け答え」、「リアルな体験談や例え話」を織り交ぜることができ、深い理解につながるでしょう。

本書の構成として、

①「考えてみよう」と、子どもへ問題提起

②著者らが分かりやすく解説

③大人に対する、子どもへの説明方法や心構えなどの解説

という、各項目がすべてこの構成で書かれています。

  • 「子どもに分かりやすく説明するにはどうしたらいいのだろう」
  • 「子どもとお金の勉強をするにはどうすればいいのだろう」

という悩みをお持ちの方がこの本を読めば、きっと悩みは解決するはずです。

本書の巻末に以下の記載があります。

いい消費、いい貯蓄、いい投資、いい寄付とは何か?正解が1つではないこれらの問いについて考え、その都度自分で判断していく。自分の価値観を自分で問い続ける。
そんな会話を親子でできたら、すごく素敵じゃないかなと思っています。

大人が一方的に考え方や答えを押し付けるのではなく、子どもと対等に話し合うこと。

本書の目的はこれだと感じました。

あまざけ
あまざけにも子どもがいますので、「こうやって話せばいいんだ」と、良いシミュレーションが出来ました。

本の内容

本書に書かれている内容は、

  • お金とはなにか
  • お金の使い方とは

という2大項目に沿って書かれています。

お金は「信用」があってこそ

本書の序盤は、「お金とはそもそも何なのか」という疑問についての解説がされています。

「当初は物々交換をしていた」「貝殻がお金代わりだった」といった歴史から始まり、

  • お金はモノの価値をはかるものさしの役割
  • お金がお金として使われるためには、みんなにとって共通の価値があることが大切

だと書かれています。

その「信用」を守るために、偽物が作られないように工夫されていること、コピーしたり偽物を作ったりしたら重い罰を受けるといった注意もあります。

あまざけ
製造原価が約17円の紙幣の価値が1万円なのは、この「信用」があるからですね。

なくならない「お金の話はタブー」というイメージ

本書と同ジャンルの本にはほぼ漏れなく書かれている「日本でお金儲けの話はタブーという風潮がある」という話。

あまざけの周りでもそういった考えの人は多く、カジュアルで軽い内容の話すら出来ない状態でした。

(だからこそ、「この人たちと同じ考えではダメだ、自分で考えて勉強しなければ!」と強く考えるようになった訳ですが・・・)

本書には以下のような記述があります。

講習会で、私がこどもたちに「お金持ちのイメージはいい?悪い?」と聞くと、10人中7~8人が「悪い」と答えます。おそらくメディアや親から見聞きしたことから、お金持ちにいいイメージを持っていないのでしょう。

一方で、「家でお手伝いをしたときに、おこづかいをもらえることはない?」と聞くと、ほとんどの子が「ある」と答えます。

次に、「そのとき、お母さんやお父さんに『ありがとう』って言われるよね。じゃあ、『ありがとう』をたくさん言ってもらえる人はお金持ちになるんじゃないの?」と聞くと、こどもたちは「確かにそうだ!」と納得します。

最後にもう一度、お金持ちのイメージを聞くと、ほとんどの子が「いい」という答えに変わっています。

「お金儲けの話をするのは卑しい」

「お金持ちになれるのはごく一部の人間だけで、自分には関係ない」

「血の滲む努力でお金持ちになるより、慎ましく分相応に暮らしたい」

そんな話はよく聞きます。が、これは周りの空気を”悪く”読んで社会の風潮からはみ出さないように萎縮している、言わば思考停止状態だと考えています。

上記の引用のように、少し考えるだけでイメージは180度変わります。

あまざけ
子どもに偏った考えを持たせないためにも、まずは親がフラットで客観的な考え方をできるように努力すべきではないのかな、と思います。

「使う」「貯める」「増やす」「寄付する」

お金の使い方には、

  • 「使う」
  • 「貯める」
  • 「増やす」
  • 「寄付する」

の4つがあります。

これまで「使う」「貯める」しか選択肢がなかったこどもたちに、4つの使い道があることを体感させることが大きなテーマです。

おこづかいを使うときの価値判断を養う

その商品の「自分にとっての価値」を見極め、計画的にお金を使う・・・これは一朝一夕で身に付くものではありません。

  • 「何にいくら使ったか」「今いくら残っているか」をちゃんと知っておくことが大切
  • 「価格が高い=価値が高い」とはいえない。「価値」は自分のものさしで決めるもの
  • その買い物は「いい消費」なのか「悪い消費」なのか、よく考えてから買うようにする

日常での大人と子どもの会話が大切ですね。

こどもに「いい消費」の体験談を話してあげてください。
大人が本音で具体的に語ることによって、価値というのはその人の心に根拠があること、思い入れや物語が大事なのだということをこどもは理解します。

自分で調べて商品の背景を知ることにより、その値段の理由を理解することができるでしょう。
「安ければいい」をみんなが追及すると、世の中にお金が回らなくなり、経済は衰退します。相応の価値がある商品をみんなが工夫して作り、それに対して相応のお金をきちんと払う。それが豊かで健全な経済なのだということをこどもたちに伝えてください。

あまざけ
節制することは大切ですが、度を越えた節制や、価格だけで判断することはダメだとあまざけは考えています。

お金の貸し借りはトラブルのもと

こどもは、いけないことだとわかっていても、いざ「お金を貸して」と頼まれるとうまく断れないことがあります。
そこで、いざというときのために親子でロールプレイをして、お金の貸し借りに対する考え方を共有しておくことが大事です。

僕あまざけは、子どもの頃に父親から、

「お金を貸しても返してもらえないことのほうが多い。あげるつもりで渡せ」

「大切に想う相手ほどお金の貸し借りはしてはいけない。たとえ100円でも返してもらえなければ悪い記憶としてしこりになる。貸し借りをする場合は縁を切る覚悟でやれ」

と口酸っぱく言われました。

投資でお金を「増やす」

日本人は「投資」という言葉にアレルギーがあると感じます。

「日本でお金儲けの話はタブー」という風潮と同じく、「投資は危険なもの」という先入観があると強く感じます。

僕の周りにも、「ギャンブルのようなもの」「投資は減る可能性がある」と言っているのに、インフレリスクを無視していたり宝くじを買っていたりする人がいます。

投資アレルギーは「知らない」ということから来るものなので、しっかり勉強し経験すれば「お金を増やす有用な手段」となるはずです。

知らないから、「投資」と「投機」を混同し、知らないから、目的もなくひたすら銀行に預金するのだと思います。


「投資」と「投機」の違いを解説した記事はこちらです!

銀行預金にもリスクがあるという解説記事もあります!


資産形成のための投資は、「これは健康のためのよい習慣と同じで、『資産づくりのためのよい習慣』なんです」とお話しします。

あまざけ
株は手数料無しで1株から買えます。
たとえ超少額でも「お金を投入したかどうか」で身の入れ方が大きく違いますので、まずは経験してみましょう!

日本や世界の社会課題を広く知るという意味でも、寄付することは大切

大切な自分のお金なので、寄付することはなかなかに難しいことだと僕個人としては感じます。

以下は本書からの引用です↓

寄付をして満足するのではなく、そのお金が具体的にどんなふうに使われるかまで見届ける責任を持つことも重要です。
自分が興味を持った社会課題を発表することにより、社会を知り、自分自身を知ることになるため、とてもいい時間になるでしょう。
また、世の中には見過ごしがちな社会課題がたくさんあること、こどもでも行動を起こせるという気づきを得ることは、こどもたちの社会認識を形成します。

社会課題を勉強するのなら、別に寄付をしなくても可能です。

しかし、たとえ少額でも自分のお金を使うことにより、身の入れ方が大きく変わるのは投資と同じです。

社会課題に協力しつつ勉強と経験もできる寄付は目に見えないメリットがあると思いませんか?

あまざけ
僕の言う「たとえ少額でも資金投入すれば向き合い方が変わる」というのは、実は競馬で得た感覚なのです。
100円でも馬券を買うとなれば予想に力が入りますし、レース観戦は手に汗握るものとなります!

本書のポイント

最後に本書のポイントをまとめておきます。

この本のポイント

  • 本書は、子どもとお金について話し合うための参考書
  • お金は信用があってこそ成り立つ
  • 「お金持ちの悪いイメージ」をなくす
  • お金には「使う」「貯金する」以外にも「増やす」「寄付する」という使い方がある
  • 「価格が高い=価値が高い」とはいえない
  • お金の貸し借りに対する考え方を親子で共有しておくことが大事
  • 資産形成のための投資は健康のためのよい習慣と同じで『資産づくりのためのよい習慣』
あまざけ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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