今回紹介する1冊はこちら。
『投資の大原則 第2版』
【原 作】・・・バートン・マルキール、チャールズ・エリス
【訳 者】・・・鹿毛雄二・鹿毛房子
【発行日】・・・2018年7月4日
【頁 数】・・・203ページ
Contents
こんな人にオススメします!
- 投資を始めようとしている方
- NISAが気になる方
- 「投資は怖い」と思っている方
- 暴落時の心構えをしておきたい方
著者はどんな人?
<バートン・マルキール>
- プリンストン大学名誉教授。
- ベストセラー『ウォール街のランダム・ウォーカー』著者。
- 大統領経済諮問委員会委員、イェール大学ビジネススクール学部長、プリンストン大学経済学部長などを歴任
<チャールズ・エリス>
- 大手公的・私的年金・財団等機関投資家向けコンサルタント。
- 30年にわたり国際的戦略コンサルティング会社、グリニッジ・アソシエイツ社長を務める。
- ホワイトヘッド財団理事長。
- 過去において、バンガード社外取締役、イェール大学財団運用委員長、ロバート・ウッド・ジョンソン財団財務委員長を歴任。
- ハーバード・ビジネススクール、イェール大学大学院にて上級運用理論を教えてきた。
- ベストセラー『敗者のゲーム』ほか著書多数
本書の特徴
なお、初版は2010年に発行され、2018年発行の第2版では第6章が追加されています。
まず、本書カバーのそでの部分に推薦文が書かれていました。
本書は、これまで投資をしたことのない方にも、経験のある方にも必読の書である。高校でこの本を読むことを義務化するといい。複利の効果はとくに若者に役立つものだからだ。投資経験豊かな方々にも、この本は役に立つ。多くの思い違いを指摘し、無意識に犯す間違った行動を明らかにしてくれるからだ。自分の思い違いや間違った行動がわかれば、自ずと投資はうまくいく。もっといい方法があるはずだという誘惑に駆られないように、この本を何年かに1度は読み直してほしい。
バンガード最高投資責任者 ガス・ソーター
ポイントは「時間を味方につける」こと。
第1章の最初に書かれている文章は「まず貯蓄を始めよう」です。
投資本だから銘柄の分析方法やお金の使い方が書かれていると思いきや、「お金を使わずに貯めなさい」といきなり言われます。
序盤に書かれているのは、さまざまな節約方法。
「カフェラテじゃなくて普通のコーヒーにしよう」とか「給料から天引きして貯金に回す」とか。
「これは本当に投資の本なのか・・・?」と疑いたくなるような内容ですが、「コツコツと時間をかけてお金を増やす」ということがひとつの投資の原則となるわけです。
そして、”時間を味方につける”ということは複利を最大限に活かすということ。
著者は「時は金なり」の本当の意味としてこの「複利」を挙げています。
複利とは簡単にいうと「投資したお金に利息が付くだけでなく、その利息にも利息が付く」ということ。
ゆっくりと、しかし確実にお金を貯める秘訣は再投資(複利)にある。
と書かれているように、節約したお金を投資に回して複利の力で少しずつ増やしていくということがこの本で最も主張したいことではないでしょうか。
なお、「投資」と「投機」の違いとは。という記事で複利についての説明をしていますのでぜひ読んでください!
大きな失敗を避け、投資コストを最小限に抑える
第2章~第5章では、守るべき大きなルールや心構えが書かれています。
投資リターンを確実に増やす1つの原則は、投資コストを最小限にすること。
と書かれているように、手数料や税金のような「コスト」を抑えることは利益を伸ばすこと以上に重要なこと。
コストは主に「手数料」と「税金」。
どんなにリターンが多いファンドでも運用手数料が高額であれば手元に残る利益は減り、リスクの割に利益が少ないということだってありえます。
証券会社の営業員にとって一番大切なことは自分のボーナスだ。彼らの本当の仕事はあなたのために働くことではなくあなたからお金を稼ぐことだ
なので著者は「インデックスファンド」を薦めています。
著者が薦める理由としては、
- 手数料が安い
- 税制面で有利
- 分散投資が容易
とのこと。
なお、インデックスファンドの基本については以下の記事で解説していますのでぜひご覧ください!
投資はティーンエージャーの子供を育てるようなもの。子供が大人へと成長していく過程こそ「興味深い」ものだ。経験のある親は、長期的観点から育てるべきだと知っている。毎日のドタバタに振り回されないように。これは投資にもあてはまる。
暴落期であってもあてはまる大原則
第2版で追記された第6章は「リーマンショックという大暴落が起きても大原則を守っていれば資産は増え続ける」ということ。
要するに「長期投資には暴落は付き物。だからそれにどう向き合うか」という内容。
「ドルコスト平均法で定額で買い続けていく」、「狼狽して底値で売らない」といったことを続けていればリーマンショックを乗り越えられたということをデータを使って説明しています。
そして、2018年時点でもインデックスファンドで長期運用の重要性と優位性は変わらないという考えが書かれています。
読んで感じたこと
新型コロナが発生する前に書かれた本ですが、今回のコロナショックにも当てはまる内容です。
株価指数的にはすでにコロナショックは過去のものになっていますが、2020年の絶望感は悲惨なものでしたよね。
こういった大きな変動期であっても、この本の掲げる長期投資の手法は通用するんだと強く感じました。
インデックスファンド。はっきりいって地味な金融商品です。
指数に合わせて機械的に売買するので、大きなリスクは無いけど大きなリターンもありません。
そんな中、世界のニュースではやれ中国やインドの急成長だ、ハイテク株はどうだ、だのと興味関心を引くホットな話題が溢れています。
もしかしたらあたなの知人で株で大きく儲けたという方もいるかもしれません。
ですが、そういうときこそこの本の内容を、ひいては歴史を振り返ってみましょう。
ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショック・・・他にも大暴落を引き起こした事件は数多くあります。
「勝ちに行く」のではなく、「負けないようにする方法」が書かれた本。
おすすめです!
本書のポイント
本書が伝えたいこと
- インデックスファンドで長期運用の重要性と優位性を説く
- 時間を味方につけ、複利を最大限に活かす
- 手数料や税金のような「コスト」を抑える
- 長期投資には暴落は付き物。だからそれにどう向き合うか。
関連書籍
関連書籍の紹介記事もあるので、ぜひご覧ください!
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