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証券取引所は何をするところ?
会社は、株主から集めたお金を返す必要はありません。それでは株主は、どうやってお金に換えるのでしょうか。
引用:東証経済教室
株主は、その株式を欲しい人に売ってお金に換えることができるのです。投資家(株式を売りたい人、買いたい人)は日本だけでなく、世界中にたくさんいます。その中から条件に合った相手を自分で見つけるのはとても大変なことです。
株式の売り買いをスムーズに行うために作られたのが、「株式市場(マーケット)」=「証券取引所」です。
つまり証券取引所は、株を売る人と買う人を「マッチングする役割」を担っているということ。
ちなみに証券取引所はマッチングするだけで、実際に投資家と売買しているのは野村證券やSBI証券などの証券会社です。
1.投資家が自分の口座がある証券会社に売り買いの注文を出し、
2.証券会社はその注文を証券取引所に出します。
3.証券取引所に集まった売り注文と買い注文の取引をします。
証券取引所を身近に感じないのは、投資家と直接取引をしていないからですね。
日本の証券取引所について
日本には証券取引所が4社あります。
- 東京証券取引所(3,740社)
- 名古屋証券取引所(287社)
- 福岡証券取引所(109社)
- 札幌証券取引所(58社)
※カッコ内は上場企業数
「大阪にはないの?」と思いますが、2013年に東京証券取引所と合併しているのです。
”上場企業サーチ”によりますと、日本には株式会社が2,242,248社あり、そのうち上場企業は3,843社です(2021/6/1時点)。
※各証券会社への上場企業数と株式会社総数が異なるのは、企業は複数の証券会社に上場できるからです。
このように上場企業は日本全体の約0.17%と、とっても狭き門となっておりますね。
この3,828社の上場企業のうち、東証に上場しているのは3,740社(2021/6/1時点)と約98%を占めています。
「上場(じょうじょう)」とは・・・
「株式会社」とは、株式を発行して資金調達をし、そのお金で事業活動を行う企業形態のこと。
起業当初、株式は会社役員が持っていたりしますが、厳しい審査をクリアすれば証券取引所に株式を公開し、誰もが買えるようになります。
このように、証券取引所で株式の取引ができるようになることを「上場」と呼びます。
上場すると資金を集めやすくなり、さらなる事業展開が可能となります。
東証にある4つの市場
上場企業の98%が所属する東証には上記4つの市場があり、それぞれ企業の特徴があります。
東証の各市場の企業数は以下の通りです(2021/6/1時点)。
市場名 | 企業数 |
第一部 | 2,191社 |
第二部 | 474社 |
マザーズ | 374社 |
JASDAQ | 701社 |
上場に伴う費用
もちろん、上場した際には上場費用を支払わなければなりません。上場前の準備期間から始まり、上場時、上場後と費用が掛かります。
東証の場合、
上場前~上場時で数千万円、
上場後は年間5千万円~1億円が維持費用として必要です。
細かくは書きませんが、コンサルティング料、証券会社への手数料や各種利用料、証券取引所への手数料・人件費・監査費用や株主総会運営費など、たくさんの費用が掛かります。
世界の証券取引所と規模の比較
世界の代表的な市場はどうなっているのでしょうか。
まずは各証券取引所のデータを。
<2020年8月末 時点> |
単位:億円、社 | ||
証券所名 | 時価総額 | 売買代金 | 上場企業数 |
ニューヨーク証券取引所 | 21,577,444 | 20,098,466 | 2,838 |
ナスダック | 18,257,073 | 17,189,621 | 3,202 |
上海証券取引所 | 6,695,954 | 8,726,268 | 1,710 |
東京証券取引所 | 6,325,214 | 4,896,729 | 3,639 |
香港証券取引所 | 5,810,851 | 2,138,038 | 2,509 |
ユーロネクスト | 4,875,121 | 1,798,543 | 1,466 |
ロンドン証券取引所 | 3,823,554 | 2,273,798 | 1,945 |
インド国立証券取引所 | 2,200,825 | 1,199,705 | 1,943 |
ドイツ取引所 | 1,974,852 | 1,486,428 | 508 |
韓国取引所 | 1,693,779 | 2,992,730 | 2,298 |
台湾証券取引所 | 1,379,920 | 984,874 | 959 |
シンガポール取引所 | 634,559 | 189,674 | 710 |
引用:野村資本市場研究所
用語説明
時価総額とは・・・
「株価×発行済株式数」で計算される、その企業の規模を示しているものです。
「証券取引所の時価総額」というと、その取引所に上場している企業の時価総額を合計したものですので、その市場の規模を示すものとなります。
売買代金とは・・・
株式市場で取引された、株価×株数の合計金額のこと。市場が活発かどうかや市場動向を把握するために使われる指標のひとつです。
代表的な取引所
ニューヨーク証券取引所
英語名は「New York Stock Exchange」。「NYSE」と略される場合が多い。
米国のニューヨークにある世界最大規模の取引所で、通称「ビッグ・ボード」。
米国で最も長い歴史と伝統を誇り、世界一上場審査が厳しいと言われています。
2021/6/2時点で、上場している時価総額トップは「台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング」。
半導体生産において世界最大の企業ですね。
2位は中国の電子商取引最大手「アリババグループ」。
3位は米国の大手金融持株会社「JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー」。
ちなみに日本企業でのトップは「トヨタ自動車」ですが17位となっており、1位企業の時価総額の半分以下です。
ナスダック
正式名は「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」。
長い。
ナスダックは1971年に世界初の電子株式市場として開設されました。
世界最大のベンチャー企業向け株式市場で、GAFAM、テスラなど名だたる企業が上場しています。
2021/6/2時点の米国で取引されている株の時価総額だと、上位10社のうち7社がナスダック上場企業です。
上海証券取引所
中国株を扱う取引所は3つあります。
- 上海証券取引所
- 深圳(シンセン)証券取引所
- 香港証券取引所
このうち上海と深圳には、人民元通貨により取引される「A株」と、米ドル建ての「B株」があります。
A株は基本的に国内投資家のみを対象としており、B株は外国投資家向けの市場です(現在では国内投資家にも開放)。
香港証券取引所は主に外国人投資家が取引をしてきた市場ですので、A株B株のような制限はありません。
ユーロネクスト
2000年に、パリ証券取引所・アムステルダム証券取引所・ブリュッセル証券取引所の3つの取引所が合併して設立された証券取引所。
その後、ダブリン、リスボンにある証券取引所も加入し、取引所の運営を行っています。
合併や独立
・2000年
3取引所の合併で「ユーロネクスト」誕生。上記参照。
・2006年
ニューヨーク証券取引所の運営企業である「NYSEグループ」と「ユーロネクスト」の経営統合が発表され、「NYSEユーロネクスト」となる。
・2012年
2000年創業で米に本社がある「インターコンチネンタル取引所」という取引所を運営するグループが「NYSEユーロネクスト」を買収。
・2014年
「インターコンチネンタル取引所」が「ユーロネクスト」を売却する。ニューヨーク証券取引所は傘下のまま。
終わりに。
代表的な証券取引所を紹介してきましたが、取引所の違いはあまり気にする必要はないのかなと。
取引所ではなく「企業」に投資をするので、どこの取引所かはそこまで重要ではないと思います。
でも「知っている」のと「知らない」のとでは大違いなので、知識として持っておいても損はないはずです。
証券取引所の役割とは。世界各国にはどれだけあるのか。
備忘録を兼ねてまとめてみました。