日本は借金まみれではない!?『99%の日本人がわかっていない 新・国債の真実』【書評4冊目】

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あまざけ
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今回紹介する1冊はこちら。

99%の日本人がわかっていない 新・国債の真実

【著 者】・・・高橋洋一
【発行日】・・・2021年9月16日
【頁 数】・・・199ページ

著者の高橋洋一氏は内閣参事官も務めた経済学者。さまざまな経歴をお持ちなので詳しくはウィキとかで調べてみてください。

本書のタイトルに「新」と入っているのは、2017年に発行された同タイトルの本に加筆・修正を加えたものとなっているからです。

こんな人にオススメします!

  • 国債の本質について知りたい方
  • 「国債って何?」と聞かれて上手く説明できない方
  • 「国債は国の借金!無いほうが良いに決まっている!」とお考えの方

このような方は、この本を読んでみてはいかがでしょうか!

あまざけの所感

以下は本書の前書きから。

国債は国の借金。だから、少なければ少ないほうがいい。
国債は発行されればされるほど、国民の負担が増える。
国はできるだけ「節約」して、予算を減らすべき。

この中に、一つでも「そのとおりだ」と思うものがあったならば、あなたは「一国の経済」というものを、間違って理解していることになる。

僕はこの前書きを読んだとき、図星を指されました。

この本を読むまでは、「国債は借金だから悪いもの、将来世代への負債」だと認識していましたから・・・。

こういった、大部分の人たちが誤解しているであろうことについて解説されています。

なお、本書は専門知識が無くても理解できるようかなり分かりやすく書かれています。

持論に対して「こういった反論がでてくるだろう」というパターンも予想して、その回答もしっかり用意してあるので、浮かんだ疑問にすぐに答えてくれています。

用語の説明もその都度してくれていますので、経済の勉強を始めたばかりの方にもおすすめです!

本の内容

あまざけ
それでは、さっそく本を紹介していきます!

国や企業の借金を、個人と同様に考えてはいけない

企業であれば、借金して設備投資しなければ会社の発展は望めない。まったく同様のことが国債にもいえる。

本書のこの文章。つまり、国債を発行する目的は「投資のため」

公共事業に投資すれば雇用が生まれますし、教育に投資すれば未来の税収増につながります。

「倹約をよしとする」のは個人レベルに限った話

経済学の言葉で「合成の誤謬(ごびゅう)」というものがあり、本書で紹介されています。

簡単に言えば、「個人レベルでは正しいことでも、同じことをみんながやったら困る」ということ。

本書ではこの言葉を以下のように解説されています。

  • 倹約をし、給料に見合った生活を送ろうとすることは当たり前の感覚。しかし、仮に国民全員が倹約しだしたら、消費が落ち込み、企業の業績が悪化し、給料が下がり、悪くすると失業してしまう。
  • 自分も含めて、みんながお金を使わなくなれば、当然、自分が受け取る額も小さくなり、その結果、世の中は不景気となってしまう。

倹約することは個人レベルではかまわないが、それと同じ視点で世の中全体を見るのは間違っている。

「倹約をよしとする」のは、散財を重ねて借金をするといった事態を防ぐためには必要な感覚だろう。

だが、借金に見合うだけの資産がある限り、じつはどれほど借金が積み重なってもかまわないといっても過言ではない。

あまざけ
借金の「額」だけ見て騒ぐのは早計だ、ということですね。

「国債発行残高はGDPの200%」を心配しなくていい理由

日本は借金大国。日本は赤字経営。そんなことを耳にするときもありますが、果たして日本財政は危機に陥っているのでしょうか。

実際のところ、国債発行額はGDPの約2倍と他の先進国と比べてもダントツに高いです。

「今月のお給料が30万円なのに、60万円も借金があるようなもの」と考えるのは半径1メートルの見方でしかない。』とは著者の言葉。

日本国債の金利は0.1%前後。いっておくが、これはかなりの低金利である。国債の利ざやで儲けようといったって、ほとんど儲けの出ないくらいの金利だ。それでも、日本国債を買う人がたくさんいる。「日本だったら、低金利で貸して良かろう」と判断している人が多いということだ。
本当に財政破綻がささやかれるほど日本の財政が危ういのなら、誰もこんな低金利でお金を貸してくれないだろう。

この他にも理由が説明されています。

「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」という、株や債券の発行体の倒産に備える保険のようなものがあり、これの日本国債の保証料率はかなり低い。
CDS、金利、出来高とさまざまな理由により「日本が財政破綻する確率は極めて低い」ことになる。
少なくともそれが、金融市場の見方である。

そもそも、民間金融機関はお金をお金のままで持っておきたくないのです。

お金のままで持ち続けるよりも少しでも利子のある国債として保有するほうが良いに決まっていますよね。

だから、日本国債は「人気商品」ということになります。

増税のために「国債=悪」というイメージを植え付ける財務省

財務省は一貫して「増税派」と思っておいて間違いない。じつは増税すると財務省の予算権限が増えて、各省に対して恩が売れて、はては各省所管の法人への役人の天下り先の確保につながるからだ。

上記の引用は本書に本当に書いてあることです。

「国債は借金だから悪」というイメージを国民に持たせ、「公共事業や福祉を充実させるための資金は借金ではなく増税で賄う」と国民を無理やり納得させるとのこと・・・。

あまざけ
財務省のHPにも「将来世代の負担」と親切に明記されていますねッ!

元官僚だからこそ分かる「財務省の本音」

日本政府の資産の大半は、金融資産だ。そのため、海外では「日本政府は、売ろうと思えば売れる資産がたくさんあるのに、ぜんぜん売ろうとしないのだから、財政破綻するはずがない」と見られている。
なぜ売らないのか。
それは、日本政府の金融資産は、じつは天下り先への出資金、貸付金が非常に多いのだ。
「自分たちの将来のために、資産は売りたくない」。これが、財務官僚の本音だ。

あまざけ
国家を運営する人も所詮は人間・・・、なんとも人間らしい話ですよね。

借金というのは、必ず誰かの資産になる

国債を最も多く保有しているのは「日本銀行」です。

ただ、この日本銀行は他の民間金融機関とは違い、「政府の子会社」のようなものです。

本書には「政府の財政状況を見る際は日本銀行のバランスシートを合体させて見ないと意味がない」と書かれています。

つまり、「政府の負債である国債」と「日銀の資産である国債」は相殺されます。

しかも日銀が保有する国債には利子が付きます。
利子はそのまま国庫納付金として政府へ納付されますので政府の収入となります。

大事なのはグロスではなくネット、つまり負債の総額ではなく負債と資産の差し引き額だ。

本書のポイント

さて、この本の内容をざっくりと紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

世間やマスコミはおろか、官僚や政治家でさえ「国債への理解が足りない」と言わんばかりの論調で書かれており、著者の高橋洋一氏の憤りを強く感じます。

最後に本書のポイントをまとめておきます。

この本のポイント

  • 日本国債は公共事業などへの投資のための借金でもある。
  • 政府と日銀のバランスシートを統合すると負債が相殺され財政面に問題はないことがわかる。
  • 借金の総額(グロス)だけ見ては本質を見失う。収支の差引額(ネット)が大切。
  • CDS、金利、出来高とさまざまな理由により「日本が財政破綻する確率は極めて低い」ことになる。
あまざけ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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